|
[市場概況]
転換社債、お酒が薄まって水っぽくなる?(2)
[2007/07/17 21:29 JST更新]
チャー氏)流通(OTC)市場では、ABC銀行転換社債引受けの権利落ち日に、投資家同士は転換社債の価値に応じてABCの株価を調整して取引します。その日にABC銀行が新株を発行するわけではないので、証券取引所はもちろん株価を調整したりしません。1年後、ABC銀行が転換社債から転換される株式の追加上場の手続きをして、初めて株価が調整されるのです。
さてそこで、流通株式数(oustanding shares - OS)という概念の他に、希薄化流通株式数(diluted oustanding shares - DOS)という概念のことも知っておくといいでしょう。DOSとは、転換権や他の権利によって新規発行される可能性がある株式数をOSに加えた流通株式総数のことです。
前述の例に戻りますが、ABC社のDOSは2,000万株です(OSの1,000万株と、社債から転換される可能性のある株式数1,000万株の合計)。ということは、発行される時点で、転換社債100万債券はOSの100%(1,000万株)に相当、若しくはDOSの50%に相当しているといえます。もし、すべての条件を満たしたことで、1年後に投資家が全ての社債を株式に転換するとすれば、ABCのOSは2,000万株になります。
ところが、その1年の間に、ABCのOSに変化が発生すれば、DOSも変わり、転換社債を保有している投資家の権利にも影響を与えることになります。その変化はABCが株式による配当支払、無償増資、追加発行、或いは株式分割などを行う場合に起こるのです。
例を続けます。仮に転換社債を発行してから6ヵ月後にABCの株価が8万ドンに上昇したので、株式の流動性を向上させるためにABCが1対4による株式分割を決定したとします。とすると、株式分割後のOSは4,000万株、DOSは5,000万株に増加し、株価は2万ドンに下がります。つまり株式分割後には、転換社債100万債券はOSの25%、DOSでは20%相当に落ちてしまうことになるのです。
発行機関は株式分割の他に、先ほどのさまざまな手法などを通じて流通株式数を増加させたり、株価を下げたりすることで、転換社債を保有している投資家の権利に影響を与えることになるのです。
記者)それでは、投資家の権利を守るためにはどうしたらよいのでしょうか?
チャー氏)他国の市場では会社法若しくは証券法に投資家の権利を守るために所有している証券の希薄化を防止する規定があります。従って、転換社債を発行する時には、発行機関は発行通知の中で流通株式数の希薄化防止について具体的な実施要綱をはっきりと説明し、これらの規定を守らなければなりません。
具体的に言えば、転換社債発行後に流通株式数に変化がある場合、発行機関はそれに応じて社債の転換条件(価格または転換率)を調整しなくてはなりません。また、振興市場においては発行機関が希薄化防止条項を出さなければ、投資家へ転換社債を発行することはとても難しいことになります。
ベトナムでは、転換社債はかなり新しいツールですので、企業法と証券法にはこの問題についての具体的な規定がありません。しかし、普及していく傾向にあるわけで、国家証券委員会は遅れることなく発行企業へのガイダンスを行う必要があります。同時に、投資家が水で薄められたお酒を買ってしまうリスクを避けられるようにするためにも、このツールについての知識を一般に普及させることが必要だと思います。
(終)
[経済日報 7月12日]
| 印刷する | ウィンドウを閉じる |
◆ 免責事項