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[ホーチミン証取]
VNM:海外市場上場のリスク(2)

[2008/01/12 10:13 JST更新]

 一方、発展規模と市場条件が異なるため、ベトナムとシンガポール両市場では違う価格レベルが形成され、裁定取引(市場間スプレッド取引)の対象となる、ということにも関心が集まっている。

 もしビナミルクの上場が需要を引き付け、アジア地域の優良企業が上場し、東南アジア地域の金融センターとなる戦略を持つシンガポールで大成功したと評価されることになれば、ベトナム証券市場発展戦略に大きな疑問が投げかけられることになる。

 ベトナム証券市場の魅力を高めて、ベトナムへ大きな資本の流入を促すために、株式会社化が促進され、大手企業が上場を通している。こうしてベトナム証券市場の規模を拡大し、流動性を高める努力を行っている。その一方でビナミルク(VNM)が海外上場するということは、その努力に反するとも言えるのである。

 これは、地域の金融センターを目指す、というベトナムの期待、若しくは地域においてベトナムの影響度を高めようとする努力に対して、相応しいやり方だと言えるだろうか?

 VNMの資本の一部を海外市場で上場させることは、ベトナム証券市場に対して消極的な前例を作る可能性も指摘できる。VNMの後、同様のことを行う他企業が出てくるだろう。海外で上場する株式数も資本の3%か5%という数字に留まらないだろう。これはベトナム証券市場の流動性低下への危機と同義である。

 そうなれば時、市場規模や売買活動が縮小され、海外投資家はベトナムに来なくてもベトナム株を売買することが出来るようになる。また証券会社は手数料が少なくなるため、更に困難な状態に直面する。また、証券取引活動の一部が海外で行われるため、証券譲渡益等への所得税課税も縮小し、税収入が減少するだろう。

 最終的に、大量の株式が海外で上場されるようになれば、ベトナム証券市場はそうした企業の取引状況によって、海外証券市場に依存した動きを見せるのだろうか?

(終)

[Hong Co, Chung khoan, Vneconomy, 8/1/2008 11:25]


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