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ドル買い入れは難しく、買い入れしないのも更に難しい

[2008/03/05 JST更新]

 100億ドルの外貨を買い入れるために、国家中央銀行は2007年に巨額な資金を放出したが、吸収し遅れたことが、インフレ率を押し上げた原因の1つと考えられている。そうすることでインフレ率が高まるということを政府が知らないはずはないが、なぜ外貨買入れを優先したのだろうか。また、外貨買入れを行わなかったら、何が起きたのだろうか。

 「Tuoi Tre」紙では、中銀の発展戦略部のレ・スアン・ギア部長にお話しを伺った。

ギア部長) 外貨準備高が輸入金額の3分の2、或いは全額をカバーしている東南アジア諸国と比べて、ベトナムの外貨準備高は非常に低く、輸入金額の3分の1程度に過ぎません。外貨準備高は、輸出援助のために為替を安定させたり、有事に備えて、国家経済への衝撃を最小限にしたり、また外国投資を誘致する時の保証として考えられたりしています。中国や韓国もこうした政策を採用しています。

質問) しかし、ドルを買い入れるために巨額のベトナムドンを放出したことが、インフレを促進させる原因となりました。それではベトナムドンを吸収するには、中銀はどんな方法を取ることができるのでしょうか?

ギア部長) 長期的な方法としては、国債発行を行うこと、商業銀行の預金準備率を引き上げることなどがあります。一方、短期的な方法としては、公開市場操作を行い、有価証券を売買することで、市中の資金量を調節します。中銀は2007年に放出したベトナムドンの90%を吸収しましたが、費用はきわめて高くなりました。国債を発行すれば、年間7~7.8%の金利を支払わなければなりません。しかも、海外金融機関に買い入れた外貨を預けても、利息は低く、年利5%程度にしかなりません。長期間となると中銀は大きな損失を抱えることになるのです。

質問)もし中銀が米ドルを買入れなかったならば、何が起きていたのでしょうか?また、本当にドルを買い入れるべきなのでしょうか?

ギア部長) ドルを購入しなければドン高が起こり、米ドル・ドンの為替レートが1ドル1万4,000ドン台となり、ベトナム製品の価格が高騰し、海外におけるベトナム製品の競争力が弱まってしまい、輸出に悪い影響を与えるでしょう。一方、輸入品は安くなり輸入量が増大し、輸入超過が一層激しくなります。また、ドン高の時期にべトナムへ投資することは不利になるので、外資の流入も縮小してしまうと考えられます。購入しなければ、インフレ率を低く維持することもできますが、外資が減少してしまう他、輸出も難航することで経済成長率が低くなると考えられます。

質問) 買い入れたドルはどのように使いますか?国内で貸付することは可能でしょうか?

ギア部長) 国内で貸付すると、インフレ率が高まるでしょう。海外の債権購入や国際的な商業銀行を通しての委託投資など、海外への投資に使用するのが良い方法だと思います。

質問) 外貨買入れに関する他の国の経験を教えていただけないでしょうか?

ギア部長) 中国の外貨準備高は1兆5,000億ドルもあり、韓国や日本は数千億ドルもあります。為替レートを安定させるためには、高い外貨準備高を確保しなければなりません。外貨買入れを行っている世界各国ともベトナムと同じような政策を採用しています。

質問) ドルを買い入れるということは、大量のベトナムドンを放出しなければならず、同時にベトナムに流入する外資も増大するわけですから、インフレを更に複雑にしてしまうのではないですか。ドル買入れを縮小すべきではないでしょうか。

ギア部長) 外貨買入れは経済がグローバル化していく中では、やむを得ないことでしょう。実際に一番買い入れを行っているのは、アメリカやシンガポールなど、経営環境が最も整っている国です。それにベトナムに投入される外資が増大していると言っても、他国と比べればまだまだ低い水準です。

*以前1ドル1万6,200ドンになった時もあったドル・ドン為替レートは、2月29日に更に下落し、1ドル1万5,930ドンとなった。