現在のさとうきび市場について、ベトナムさとうきび協会のハ・ヒュウ・ファイ総書記とインタービューを行った。
質問) 契約通り農民のさとうきび全量を購入していない製糖工場が多くありますが、なぜでしょうか?
ファイ氏) 2007年半ば(栽培初期)に締結された契約では、さとうきび購入価格は1トン当たり35~45万ドンだったのですが、契約締結からこれまで、人件費や肥料価格、運送料などが高騰し、生産コストの上昇が見られました。そのため、さとうきび栽培農家は利益を上げることができず、また砂糖の小売価格が低いため、製糖会社もさとうきび購入価格を引き上げにくい状況です。
北部における砂糖生産原価は1キロあたり7,000~7,500ドンであり、南部における原価は7,500~7,800ドン(付加価値税等含まず)ですが、小売価格が1キロ8,000ドン以下に下がっているため、多くの製糖工場では損失を抱え込んでいます。
こうしたことで契約が実行されないケースが出てきています。契約を結んでいるのは、北部及び中部の栽培農家です。メコンデルタにはそうした商習慣はありません。
質問) 砂糖の小売価格が下がっているのはなぜでしょうか?
ファイ氏) WTO(世界貿易機構)やAFTA(ASEAN自由貿易地域)の取決めにより、ベトナムでは2008年には5万8,000トンの砂糖の輸入を認めることになっています。上白糖にはWTO規定では40%、AFTA規定でも20%の輸出入税がかけられることになっています。
しかし実際には、毎日およそ400~500トンの砂糖がベトナムに密輸されています。1日当たりの税金でいえば、5億ドン(約330万円)相当です。タイの砂糖は生産コストが低く、輸出税も課せられていないため、価格がベトナムのものより低いのです。また、密輸業者はベトナムの国内砂糖価格を常に把握し、1キロあたり300ドン以下の価格で販売しています。国内製糖工場は高級さとうきび価格及び砂糖価格を下げざるを得ない状態なのです。
質問) 問題はどこにあるでしょうか?
ファイ氏) 政府の2010年までの砂糖生産計画では、さとうきび栽培用農地は30万ヘクタールまでとされ、収穫高を1ヘクタール当たり65トンに引き上げると目標が掲げられています。しかし、現在のさとうきび栽培農地は既に31万ヘクタールに達していますが、現在の収穫高では需要の70~80%にしか応えることができていません。
ベトナムのさとうきびの収穫高・品質共に他の地域より低いということもあります。現在の収穫高は1ヘクタール当たり54.8トンですが、中国やタイでは70~80トンにもなるのです。
質問) 現在の問題を解決するために、何か提案はありませんか?
ファイ氏) 以下のような多くの解決策を同時に実施する必要があると考えています。
1) 密輸をしっかりと管理すること
2) 製糖工場のためのさとうきび栽培農地を詳細に割り当てること
3) 収穫高が高く品質が良いさとうきびの品種を輸入し、大量に栽培すること
4) 農業農村開発省はさいとうきび栽培用灌漑施設への投資を行い、栽培農家に対して支援を行うこと
5) コントゥム製糖工場、チャビン製糖工場、ソックチャン製糖工場、及びタイビン製糖工場の合計4カ所の製糖工場の株式会社化を迅速に完了させ、政府保有率が高い製糖工場の資本金再構成を行うこと

