クーロンフィッシュ輸出入株式会社(銘柄コード:ACL)は、ホーチミン証券取引所へ9月5日に上場することになった。これはホーチミン証取の113番目の企業である。
多くの投資家は、何故ACLの税引後利益は17億ドン(2005年度)から360億ドン(2006年度)に急増し、そして2007年度上半期の290億ドンに達したのかと疑問を持っている。
ホーチミン証券取引所によると、2007年5月2日にACLは株式会社の形態に正式に変更された(資本金:900億ドン、株式総数:900万株)という。ACLの主要な事業は、チャ魚の養殖・加工・輸出である(骨なし切身、冷凍、フライ、調味料付け、ハム、ソーセージ等)。そのうち、チャ魚の骨なしの切身の売上高は平均的に総売上高の90%を占めている。一方、頭、魚の脂肪、骨、皮などの副産物の売上高は平均的に総売上高の約5%を占めている。ACLの殆どの製品は輸出されている。
今後、ACLはアンザン省のミクィ工業団地に水産・付加価値品加工輸出工場を約754億ドンの投資規模で建設する予定である。この工場では、毎日原料150トンを使ってチャ魚・バサ魚を加工・輸出し、また容量3,000トンの冷凍倉庫を保有する。この工場が稼動すればACLの1日生産能力は原料250トンとなり、年間生産能力は7万5,000トンに達する(製品換算で2万5,000トンに相当)見込み。8月中にこの工場の建設に着工し、2008年4月には建設終了する予定である。
一方、ACLはアンザン省のビンロン工業団地にもチャ魚・バサ魚用飼料生産工場の建設を行っている(投資総額:2,240億ドン、Uni-President Cc社と協力)。この工場では20万トンの年間総生産能力がある生産2ラインでチャ魚・バサ魚用の飼料を生産し、養殖区(面積100ha)へ供給する。この建設は2段階で行われることになる。第1段階は2007年7月22日に着工し2008年4月に完成する予定であり、第2段階は2009年中に行われる予定。
更にACLは将来完成する工場への原料、更にヨーロッパ市場への加工製品供給を充分に確保するため、チャ魚養殖区100ha(年間生産能力:6万トン)をSQF1000CM基準に従って拡大する事業を展開している(投資総額:約700億ドン)。
リスク
ACLは輸出市場の多様化を強化していない。またACLの加工工場の規模は同業他社と比べまだ小さい。
現在世界市場のチャ魚・バサ魚に対する需要が増加しており飽和する前兆はまだ出ていないが、ベトナムの輸出量がここ数年急増し、また中国、バングラデシュと東南アジアの数カ国(ミャンマー、タイ、カンボジアなど)もチャ魚・バサ魚の養殖・加工に投資を始めれば、供給が需要を上回る状態になる。しかし、近い将来には需要のバランスが崩れる可能性は少ないと言える。
ベトナムの水産輸出にとって、食品衛生は最大な課題になっている。また輸出市場でダンピング告訴されると(アメリカで告訴されたことがある)、ACLをはじめベトナムのチャ魚・バサ魚の輸出活動へ影響が出る。
2006年から現在まで、チャ魚の価格が大幅上昇したため、メコンデルタにおけるチャ魚養殖面積も大きく増加した。しかし、多くの専門家は、この養殖面積が計画に従わず急増することは、水質環境を悪化させ、それが魚の品質へ影響を及ぼすと警告している。また、同業他社と競争しなければならないため、チャ魚の原料価格が上昇すればACLの原料調達活動にも影響を与えることになる。
(終)