新型コロナ禍で甚大な打撃を受けているベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、政府に同社の現状を報告し、支援を求めた。チーフアカウンタントのチャン・タイン・ヒエン氏が明らかにした。
HVNは2019年末時点で約4兆VND(約187億円)の現金を保有し、財務状況は健全だった。同社は既に重要度の低い事業から撤退し、機材の一部を売却するほか、従業員の給与を削減し、給与の支払いを抑えるために交代で休暇を取得させ、取引相手と協議の上で債務の返済期限を延長するなどして対応している。
同社は、こうした対応により2020年9月までは凌ぐことが可能だが、政府から支援を受けられなければキャッシュフローが枯渇するとしている。同社は今年▲15兆~16兆VND(約700億~750億円)の赤字を見込んでいる。
企業における国家資本管理委員会(CMSC、通称:スーパー委員会)はHVN株86.2%を保有している。HVNは政府に対し、筆頭株主として救済措置を講じるよう要請した。HVNが求める救済措置の詳細は以下の通り。
◇国がHVNに低利融資を実施する:融資額は4兆VND(約187億円)以上、融資期間は3年以上とする。
◇HVNが増資を実施する:国家資本投資経営総公社[SCIC](State Capital Investment Corporation)をはじめとする国の機関・組織が新株を購入する。
◇HVNの社債発行を政府が保証する:発行総額は10兆VND(約470億円)、償還期間は10年とする。
なお、SCICはこれに先立ち、当局の許可を得られればHVNに数兆VND(1兆VND=約47億円)を出資するほか、HVNの再編にも参画する方針を明らかにした。