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  グラブ(Grab)など国内市場を席巻する配車アプリとの熾烈な競争に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も相まって、タクシー大手のビナサンタクシー[VNS](Vinasun)はかつてない程の苦境に立たされている。

  VNSは、2020年に大規模なリストラで人件費削減を行うなどしてコスト削減を図ったものの赤字を計上してしまった。

  同社の昨年末時点の従業員数は前年末比▲24.0％減の4398人に減少。それにもかかわらず、同年業績(監査済み)は売上高が前年比▲49.5％減の1兆0060億VND(約48億円)へと大幅に減少し、税引後利益は▲2106億VND(約▲10億円)の赤字に転落した。

  同社は今後の対策として、コスト削減に加え、運転手に中古車両を売却して運転手と「フランチャイズ(FC)契約」を結ぶFC事業を強化する方針を明らかにした。この一環として、2021年中に中古車両計1000台余りを運転手に売却する計画。

  さらに同社は、2021年末までに電子財布(Eウォレット)と事業提携し、自社の配車アプリ「Vinasun」にオンライン決済機能を搭載するなどして配車アプリの利用を促進していく。同社はコールセンターを介した配車回数が1日3万回を数える強みを生かしつつ、今後、配車アプリを介した配車回数を1日2万回まで増やすことを目指す。