ベトナム国内の石油元売り各社は、エネルギー安全保障の強化と化石燃料の輸入依存からの脱却を目指し、ガソリンエンジン用「E10ガソリン」(バイオエタノール10%混合ガソリン)の全国展開を、商工省が定めた2026年6月1日の期限よりも前倒しで進めている。
前倒し展開の背景と準備状況
日本のエネオス(ENEOS)が出資する石油・ガソリン小売最大手ペトロリメックス[PLX](Petrolimex)は、2025年末からホーチミン市と南中部地方クアンガイ省の60店舗でE10ガソリンの試験販売を実施した。消費者からの品質に関する苦情はなく、反応も良好なため、2026年4月末または5月初旬から全国での展開を開始する予定だ。
ペトロベトナムグループ(Petrovietnam=PVN)傘下のPVオイル[OIL](PV Oil)も全国13か所の主要倉庫における混合・貯蔵システムのアップグレードを完了し、全国約900店舗でE10ガソリンを供給する体制を整えた。
石油元売り各社で構成されたベトナム石油協会(VINPA)のチン・クアン・カイン副会長によると、現在ベトナムでは年間約1200万m3のガソリンが消費されており、120万m3のエタノールを混合することで、国内で消費される鉱物油ガソリンの使用量を大幅に削減できるという。
エタノール供給の確保と政策課題
E10ガソリンの普及にはエタノールの安定供給が不可欠となる。ズンクアット製油所を運営するビンソン製油石化[BSR](Binh Son Refining And Petrochemical)は、混合用エタノールの生産準備を整えた。同社傘下の中部ペトロベトナムバイオ燃料(BSR-BF)は3月から年間約6万tの生産を見込んでいるほか、バイオ燃料を生産するニャーサインベトナム(Nha Xanh Viet Nam)などの国内企業も供給を維持している。一方、PLXは国内生産だけでは需要を満たせないため、米国や韓国、シンガポールからの輸入契約も進めている。
各社はE10ガソリンの持続的な普及に向けて、石油事業に関する新政令の公布や環境保護税の減税、適合認証期間の短縮など、政府に対する支援メカニズムの早期整備を提言している。
商工省はこれまでに、バイオ燃料導入のロードマップを規定した通達第50号/2025/TT-BCTの実施に向けた決定第273号/QD-BCTを発出しており、2026年6月1日以降、国家技術基準に適合する無鉛ガソリンをE10ガソリンとして全国で使用するよう定めている。また、ファム・ミン・チン首相も先日、エネルギー安全保障の確保に向けた指示第09号/CT-TTgを公布し、商工省に対してE10ガソリンへの転換ロードマップを早期に展開するための条件を見直すよう求めていた。


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