科学技術省の2025年総括報告によると、ベトナムの第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスエリアは同年末時点で全国人口の91.2%をカバーした。
5Gネットワークはハノイ市とホーチミン市の2大都市や主要工業団地などで重点的に整備され、企業各社のスマート生産や自動化導入を後押しする形で整備が進んでいる。
5Gの急速な普及を支えた要因として、700MHz帯周波数の競売成功が挙げられる。同周波数帯は電波の到達性に優れ、1800MHz帯に比べて約2.6倍のカバー範囲を持ち、基地局(BTS)数を3~4分の1に削減できるとされる。
携帯通信大手ベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル=Viettel)とベトナム郵便通信グループ(Vietnam Posts and Telecommunications Group=VNPT)はそれぞれ700MHz帯を落札し、全国展開において大きな優位性を確保した。一方、モビフォン(Mobifone)は競売に参加せず、今後の競争力低下が懸念される。
通信インフラの高度化により、固定系ブロードバンドの平均速度は271.95Mbpsとなり、世界156か国中10位にランクインした。モバイル通信速度も160Mbpsに達し、104か国中15位と高水準を記録した。
VNPTは2025年8月、同社が100%出資して整備した、ベトナムからシンガポールまでを結ぶ陸上ケーブル「VSTN」の運用を開始した。VSTNは、ベトナム企業が100%出資して整備した初の国際通信ケーブルとなった。
このほか、ベトテルが参画している「アジア・ダイレクト・ケーブル(Asia Direct Cable=ADC)」が2024年12月に、VNPTが参画している光海底ケーブル「第2東南アジア・日本ケーブル(Southeast Asia-Japan Cable 2=SJC2)」が2025年にそれぞれ運用を開始した。これにより、国際通信容量は80Tbpsに拡大し、通信の安定性が大きく向上した。
その結果、2025年の通信業界売上高は前年比8%増の176兆5600億VND(約1兆0600億円)に増加した。通信インフラの増強とデジタル化の推進がデジタル経済の成長、ひいては国内総生産(GDP)の成長の重要な原動力となっている。
科学技術省によると、周波数管理や法制度の整備が、新技術の発展速度に追いついていないとの課題も残っている。同省は今年中に900MHz帯の競売を実施する予定で、5Gの安定運用と将来の第6世代移動通信システム(6G)展開に向けた基盤強化を図っていく方針だ。


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