アジア開発銀行(ADB)は10日、最新の「アジア経済見通し」を公表し、ベトナムの経済成長率予想を上方修正した。同行は輸出需要の回復を背景に、米国の関税政策を巡る不透明感が残るなかでも、ベトナム経済は堅調に推移していると評価した。
ADBは、2025年のベトナムの国内総生産(GDP)成長率を+7.4%と予想し、9月時点の+6.7%から+0.7%pt引き上げた。これは域内で最も大きな上方修正となり、ベトナムがアジア経済の成長をけん引する存在として注目されている。
今回の見直しについてADBは、ドナルド・トランプ米大統領の関税政策による影響が、現時点では当初懸念されたほど深刻ではない点を要因の一つに挙げた。特に、製造業を中心とした輸出の底堅さが成長を支えているという。
一方でADBは、今後のリスク要因として、通商摩擦の再燃や金融市場の変動が輸出や投資、資本移動に影響を及ぼす可能性があると指摘し、先行きには慎重な見方も示した。
東南アジア全体について、インドネシアやマレーシア、シンガポールと並び、ベトナムは堅調な景気動向を維持していると評価された。同地域の2025年の成長率は+4.5%と見込まれている。
インフレ率についてADBは、域内全体で低水準が続くと予測しており、ベトナムを含む多くの国で金融政策の柔軟な運営が可能な環境が続くとみている。米国の利下げ継続も、ベトナム経済にとって追い風になるとの見方を示した。


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