最近、香港上海銀行(HSBC)はベトナム証券市場が五つの理由で下落したというコメントを発表した。その1つの理由は平均PERが30を超えているためだ。しかし、これは証券投資の中で大きな利益を得るための重要な基準ではない。私は経験上、証券市場の下落の原因はPERが高いという理由のためではなく、95%が投資家の心理によるものであると考える。アメリカ証券市場の1987年の暴落事件を思い出せば、この暴落の原因はメディアがアメリカの貿易赤字を誇張したことから、投資家が影響を受け、株を投げ売ったためだ(インデックスが僅か1日で20%以上下落した)。また、2001年にアメリカ証券市場は9月11日の同時多発テロ事件で暴落した。これからHSBCの3つのコメントを下記の通り批判する。(銀行大学教員:ダン・クアン・ザ氏)
1) PERが高い
HSBCが自身のレポートで使っていたPERは、株式の時価と前年度の1株当り利益(EPS)との相関を表す指数のみである。通常PERが低ければ低いほど安全性が高いが、安全性が高ければ高いほど利益が低いのだ。この指数で使われるPは株式の時価だが、Eは前年度の1株当り利益なので不合理である。つまり、会社の現在や今後の潜在力を反映していないのだ。株式を買うことは将来性を買うという意味である。通常優良銘柄の株価はいつもEPSの増加より先に上昇する。よって、通常優良銘柄のPERが高い。HSBCのレポートですぐに見つけられる矛盾は、PERが30を上回ったら高いと言っていることだが、実際にはベトナム証券市場でPERが16を下る多くの銘柄は海外投資家に選定されていない(PERが15.5以下の上場銘柄の割合は30%以上)。逆に、海外投資家はPVD(ペトロベトナムドリリング、PERが250に達したことがある)、FPT(PERが45に達したことがある)、STB(サイゴン商信銀行、PERが100以上に達したことがある)などのPERの高い銘柄に大きな買いを入れた。
私はある記事で述べたように、各国のPER標準は銀行の金利によって異なる。銀行の金利が高ければ高いほどPERが低く、また逆も然りということだ。海外のいつくかの例を挙げてみる。日本のソフトバンク社のPERは102、インドのInfosys社のPERは28.6、同じくインドのAPPTech社もPERは54.4などである。これらの会社は強い会社であり、海外投資家から大きく投資され、株価が徐々に上がっているにもかかわらず、このことについては誰も意見していない。
一方、ベトナム企業の株はアジア地域の中で優良銘柄と評価され、中国株に負けているのみだが、様々な批判を受けている。私は海外投資家が批判した後で購入するという戦略を採用しているのではと感じている。ベトナム人投資家は海外投資家を過信しがちな習慣を持っているので、海外投資家はこの習慣を利用してベトナム人投資家の心理に影響を与え、VNインデックスを900ポイント以下に引き下げたのではないだろうか。
(2)に続く


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