3つ目は、外国人保有枠(ルーム)を拡大したからといって取引の連続性や投資資本の流動性(証券市場の最も重要な役割)が増加するのは確実なことではないことである。我々はルームの拡大は短期的効果があるのみだと考えている。外国人投資家は流動性がある優良銘柄を保有枠の上限に達するまで大量に購入するため、これらの銘柄の株価は引き上げられ短期的な上昇傾向が発生する。その後、外国人投資家はこれらの銘柄の取引にあまり参加しないため、売買高が現在のように減少してしまうのである。
4つ目は、国内投資家と外国人投資家の市場で売買する購買力が違うということだ。外国人投資家の財務能力は国内投資家より数倍強いが、通常彼らの期待する受益率は国内投資家より低い。つまり、外国人投資家のリスク許容度は国内投資家より高く(より高い価格で購入する)、また彼らがある程度の株式を保有すれば市場をコントロールすることもできるようになる。
ルームを事前に決めず、なし崩し的に拡大すれば、国内投資家は優良銘柄を保有するチャンスを掴めない。そればかりか、そっくりそのまま海外投資家の手に渡り、しかし企業の経営効果も前記分析のように改善されない可能性がある。一方、市場流動性も増加するのかは怪しい。
ベトナムより10年早くに証券市場を発展させた中国では、当初証券市場をA株銘柄とB株銘柄という2種に分けていた。中国人投資家はA株を自国通貨で取引し、また外国人投資家はB株を外貨で取引していた(その後B株は国内投資家に開放)。2005年のデータによると、中国は上場企業が1,381社あり、そのうち1,240社はA種の株しか発行せず、23社はB種の株しか発行せず、また86社はA種とB種の株を両方とも発行しているという。外国人投資家のルームを間接的に調整する意味もあったようだ。
中国の企業の経営効果に対する外国人投資家の保有率の影響について最新の研究によると、外国人投資家の保有率は少なければ影響があまりなく、保有率が50%以上であれば積極的な影響が出るとのことだ。しかし、この研究も保有率が50%であれば最も積極的な影響を得られるということを示した。つまり、外部の力と内部の力のバランスを取るということだ。ベトナムは中国の経験を参考にすることができるのではないか。
政府は産業別特殊性と影響を良く検討し、適切な外国人保有率を決める必要がある。単にルームを拡大するだけでは市場に短期的な影響を与えるに留まり、根本的な解決策とはならない。その意味では、優良銘柄の供給と市場の流動性を増加させることこそが長期的な対策だろう。
(終)


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