これまでは増資(新株発行)を準備している銘柄には買いが入り、株価が上昇するというパターンが多かったが、現在は逆の動きが見られる。増資情報がある殆どの銘柄が下落している。
ビンディン鉱産(銘柄コード:BMC)、ハイフォン証券(銘柄コード:HPC)、ホアアン(銘柄コード:DHA)、ホアファット(銘柄コード:HPG)等の銘柄は、投資家の群集心理を解体する典型的な銘柄となっている。有償増資基準日を発表した1週間後、BMCとHPCの株価は約10%、DHAとHPGの株価は15%下落した。アナリストは、好材料とされた増資情報で、優良銘柄が下落した1つの原因は、市場全体の下落傾向が影響したためである、と語った。しかし、以前は調整局面であっても、増資情報が出た銘柄は大きく上昇した。こうした銘柄への市場からの影響は非常に少なかった。現在全く逆の動きが見られる主な原因は投資家心理にあると言える。投資家の群集心理という要素を段階や時期に分けて分析すべきだろう。
実際にはベトナム証券市場は質的に大きく変化し、専門性がより高まっている。こうした中で、企業情報を把握することは以前よりも格段に重要視されている。雑誌「証券投資」の調査によると、多くの投資家はより長いビジョンを持っているという。彼らは、以前のように好材料を待っているばかりではなく、企業の短期的な発展計画や利益をかなり正確に予測するか、若しくはインサイダー情報を獲得し、こうした銘柄に先に投資するようになっている。よって、ハイフォン証券(HPC)の分析によれば、8月にBMCの株価は大きく回復し50万ドンに上昇した(2007年の第1次増資後)。これと同様だったのがハパコ(銘柄コード:HAP)で、株価を8万台に戻した(株式分割の情報を公開した時点と比べ40%上昇)。ハイフォン証券によると、増資計画がある銘柄の株価が事前に上昇したことに中期投資家は関心を表したという。
一方、市場の需給や株価の価値という面で、株式分割の情報がある銘柄の株価下落現象を説明したある証券会社のコンサルタント専門家は、「情報が公開される前に株価が期待レベルまで上昇し、そこで止る。そして企業が情報を公開した時に、中期投資家は株を売却する。そこで株価が下落する。不思議なことではありません。」と語った。但し、こうした理由からこれらの銘柄の株価が再び上昇する可能性がない、ということではない。「証券投資の本質は、将来への投資ですから、株価が下落すれば、その時点でまた多くの新しい投資家がやってきます。こうした投資家は企業の将来に対して続けて期待しているのです。」と、この専門家は語った。実際に、HPC、BMC等の銘柄は増資の基準日を過ぎた後に上昇した。
投資の専門性が高まることは証券市場の魅力を高める要素となる。株式分割を準備している銘柄が株価下落しているという現象をしっかりと把握することで、利益を上げるチャンスを見出せるはずである。
VNインデックスは1,000ポイントレベルを巡り変動しているが、投資家は優良銘柄の購入を拡大する傾向がある。こうした中で注目したのは、海外投資家がペトロベトナム肥料化学(銘柄コード:DPM)、総合フォワーディング・ジェマデプト(銘柄コード:GMD)、ハイフォン証券(銘柄コード:HPC)、ホアファット(銘柄コード:HPG)等の銘柄への大きな買いを入れ続けていることだ。多くの企業は増資後に大きく成長しているため、株式分割を行う銘柄は依然として高い関心を持たれている。