香港上海銀行(HSBC)が先般発表した国際貿易調査「グローバル・トレード・パルス2.0」によると、ベトナム企業の9割が今後2年間で国際貿易を拡大できると考えており、世界平均の87%をわずかに上回った。
同調査は17か国・地域で企業の意思決定者6750人を対象に行われ、ベトナムからは250社が参加した。調査では、ベトナム企業の73%が「6か月前と比べて貿易政策による影響を把握しやすくなった」と回答し、72%が「最近の政策変更について理解が進んだ」とした。
調査結果によると、ベトナム企業の88%がサプライチェーンの地域内完結化を優先しており、国際的な依存度を下げる動きが強まっている。サプライチェーン混乱による今後2年間の収益へのマイナス影響は15%程度と予想され、半年前の調査時点の20%から改善が見られた。
企業の対応策としては、コスト上昇や競争の熾烈化を受け、運営効率や生産性の向上、契約条件の見直し、自動化や人工知能(AI)への投資が進んでいる。ベトナム企業の90%がサプライチェーン管理や物流、在庫最適化に「AIや機械学習を活用する」あるいは「活用を検討している」と回答した。このほか、92%がデータを用いたリスク・需要予測を実施している。
さらに、企業の91%が内部改善による不確実性への対応を進めており、90%がリスク管理計画を構築、90%が製品・サービス構成の見直しによるリスク分散を図っている。
ただし、貿易関連の資金面での負担は依然として残っている。46%が対応可能な範囲の圧力を感じており、21%は「2024年以降、流動性や資金繰りに大きな課題を抱えている」と回答した。
海外展開では、シンガポールや中国本土への輸出拡大が目立ち、フランス、タイ、日本への進出意欲も高まっている。特に、売上規模の大きい企業ほど、東南アジアや北東アジアとの取引比重を強めており、地域連携を軸にした成長戦略が進んでいる。


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