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  タンベト証券(TVSI)の会長 兼 社長でサイゴン商業銀行(SCB)の取締役を務めるグエン・ティエン・タイン氏(男性・49歳)が脳卒中で急死し、さらに同行と深いコネクションがあるとされる華僑系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)のチュオン・ミー・ラン会長(女・66歳)が社債発行をめぐる詐欺・資産横領容疑で逮捕されたことを受け、多くの預金者がSCBに殺到している。

  これを受けたベトナム国家銀行は8日午後、SCBと協力して記者会見を開き、SCBの正常な活動と預金者の権利保護を約束した。SCBはこの席で、違法社債発行で摘発されたVTP傘下のアンドン投資グループ(An Dong Investment Group)は同行の株主ではなく、VTPのラン会長も同行役員ではないと説明し、今回の事件が同行の活動に影響を及ぼすことはないと強調した。

  なお、急死したタイン氏はVTPの副社長を務めるトン・ティ・タイン・ホアン女史の夫。TVSIとSCBはこれまでに複数企業の社債発行で協力し、TVSIが発行コンサルタント、SCBがアンダーライター(引受主幹事)の役割を果たしていた。

  2011年には中央銀行の認可のもと、◇SCB、◇ティンギアバンク(Tin Nghia Bank) 、◇フィコムバンク(Ficombank)が統合する形で新生SCBが誕生。2014年まではVTPに関わる複数人物がSCB取締役を務めていた。

  最新の年次報告書によると、SCBの2020年末時点の株主数は3955人、このうち、外国人株主が5名、保有率が27.9％となっていた。なお、商業銀行における海外投資家による保有比率の上限は30.0％と規定されている。

  SCBは民間商業銀行の中で最大の総資産を誇っている。2022年6月末時点の総資産は760兆VND(約4兆6000億円)、このうち、顧客への貸出金は前年末比+8％増の389兆7900億VND(約2兆3600億円)。一方、顧客からの預金は同+16％増の595兆4400億VND(約3兆6000億円)。1～6月期の税引前利益(単独)は前年同期比+50％増の6820億VND(約41億円)に急増した。

  SCBは常に高い預金金利を提示する商業銀行の1行として知られている。今回の事件を受け、預金者を繋ぎとめるべく、SCBは今月8日から9か月以上の預金に対する預金金利を年+1％pt引き上げると発表。これにより、1年間のオンライン預金金利は商業銀行の中で最高の年8.55％に達している。

  なお、10日にも多くの人々が預金を引き出すためにSCB店舗前で長蛇の列を作る光景が見られたが、地元当局が治安維持にあたり、取引はスムーズに進んでいる模様。中央銀行ホーチミン支店グエン・ドゥック・レン副支店長は、「SCBは預金者の引き出し要求に十分応えているが、中央銀行として状況を注意深く監視し、必要に応じてはSCBを迅速にサポートする」とコメントした。