中東紛争の影響により、2026年のベトナムの国内総生産(GDP)成長率は、紛争の期間や規模に応じて、政府目標に対し▲0.6〜1.5%pt低下する可能性があることが、ベトナム投資開発銀行[BID](BIDV)経済研究所の最新レポートで明らかになった。
ベースシナリオと悲観シナリオ
ベースシナリオ(確率50%)では、紛争が4〜5週間で終結した場合、国内ガソリン価格の上昇や輸出・海外直接投資(FDI)の減少により、GDP成長率は政府目標の+10.0%に対し、▲0.6〜0.8%pt低下すると予測されている。
一方、紛争が2026年末まで続く最も悲観的なシナリオ(確率20%)では、国際原油価格の高止まりによりインフレ率が+4.5〜5.0%に達し、GDP成長率は政府目標に対し最大▲1.5%pt低下する見込みだ。
ベトナム国家大学ハノイ校(ハノイ国家大学)傘下の経済大学(UEB)のグエン・クオック・ベト博士も、物流コストの上昇やサプライチェーンの分断により、輸出や観光に打撃を与えると指摘している。
エネルギー分野への影響と対策
ベトナムはエネルギー供給の一部を輸入に依存しており、最も深刻な影響を受けると予想される。現在、国内のガソリンおよびガスの需要は2665万tで、ビンソン製油石化[BSR](Binh Son Refining And Petrochemical)が運営するズンクアット製油所(南中部地方クアンガイ省)とギーソン製油石化(Nghi Son Refinery And Petrochemical LLC=NSRP)が運営するギーソン製油所(北中部地方タインホア省)による国内供給は約54.4%にとどまっている。
特に液化天然ガス(LNG)はほぼ全量を輸入に頼っている。これに伴い、運輸、物流、観光などのエネルギー多消費産業や農業部門への影響も懸念されている。
2025年にベトナムが中東市場に輸出した農水産物は約17億4000万USD(約2770億円)に上り、今後の貿易・物流コストの増加が予想される。一方で、従来のサプライチェーンが分断される中、欧州やアフリカなど他市場からの需要増加を捉える新たな機会も生まれている。


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