米不動産サービス大手クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield)が発表した2026年4~6月の市場レポートによると、ホーチミン市中心部および旧ビンズオン省・旧バリア・ブンタウ省の拡張エリアでは、新規オフィスプロジェクトの供給がなかった。
短期的な新規供給が抑えられたことで既存物件の空室消化が進み、各グレードで入居率が上昇した一方、賃料は横ばいまたは小幅下落となった。
入居率は向上も賃料は小幅下落
ホーチミン市中心部の賃貸オフィス総供給量は約173万m2で維持された。一方、オフィス拡張や移転需要により同期の純吸収量は約1万4458m2を記録した。入居率はグレードAで前期比+1.4%pt上昇の89.8%、グレードBで同+0.5%pt上昇の91.3%となった。
しかし、1m2当たりの平均月額賃料はグレードAが53.2USD(約8100円)、グレードBが33.3USD(約5100円)へわずかに下落した。物件オーナーはテナントの誘致・維持のため賃貸優遇策を継続しており、借り手優位の交渉が続いている。
需要を牽引する業種と変化する選定基準
オフィス需要は主に製造業、医療、日用消費財(FMCG)、工業、外資系企業が牽引している。近年はより質の高いオフィスへの移転を指す「フライト・トゥ・クオリティ(flight-to-quality)」の概念が広がっており、立地やビルグレードだけでなく、従業員の働きやすさ、空間デザイン、共用設備、柔軟な働き方への対応、交通アクセスなどが重視される傾向にある。
今後、企業がコスト抑制を進めつつ人材の定着も図る中、実際の運営品質や利用体験で「質」を示せる物件が競争優位性を確保するとみられている。


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