格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)はこのほど、米ボーイング社(Boeing)との間で、VJCが出資するタイのLCCタイ・ベトジェットエア(Thai Vietjet Air)へのボーイングB737型機50機の移管に関する合意書に調印した。
調印式には、ベトナムのファム・ミン・チン首相とタイのペートンタン・チナワット首相が出席した。
合意書によると、VJCは現在発注しているボーイングB737型機200機のうち50機をタイ・ベトジェットに移管する。初回納入は2025年10月を予定している。この移管により、タイ・ベトジェットは国内外の路線網を大幅に拡大し、特にベトナム~タイ間およびアジア太平洋地域の主要都市間の接続強化が期待される。
また、ボーイング社はタイ・ベトジェットに対し、パイロットや整備士の訓練、機体整備サービスを含む包括的な技術支援パッケージも提供する予定で、安全かつ効率的な運航体制の構築を後押しする。
タイ・ベトジェットは2014年の設立で、バンコクのスワンナプーム国際空港を拠点に、国内外33路線を運航しており、日本、中国、インド、カンボジアなどの都市とも接続するなど、これまでに3000万人以上の乗客を輸送してきた。
2025年5月時点で、タイ・ベトジェットの保有機材はエアバスA320型機12機、A321型機6機の計18機。今後のボーイング機導入により、同社のフリート(航空機材群)は加速的に拡大する見込みだ。
なお、タイ航空当局によると、2024年時点でタイ・ベトジェットは国内市場シェアの14.2%を占め、タイ・エアアジア(Thai AirAsia、36.9%)、ノックエア(Nok Air、14.6%)に次ぐ第3位となっており、バンコク・エアウェイズ(Bangkok Airways)やタイ・ライオンエア(Thai Lion Air)などの既存の大手航空会社を上回っている。