2025年の食品・飲料(F&B)業界の売上高は前年比+5.5%増の約726兆5000億VND(約4兆4000億円)に達し、これまでの爆発的な成長から安定的な成長の段階へと移行している。店舗数は同+2%増の約32万9000か所にとどまった。
この結果は、F&B業界に特化したソリューションを提供するiPoS社(iPoS.vn)とネスレプロフェッショナル(Nestle Professional)が発表した2025年のF&B市場レポートで明らかになった。
売上高はフード部門が牽引、観光客の増加が後押し
2025年のF&B業界の売上高のうち、フード部門が同+5.3%増の601兆0150億VND(約3兆6000億円)、ドリンク部門が同+6.1%増の125兆4850億VND(約7600億円)を占めた。この成長は観光業の回復に支えられており、2025年には国内観光客が1億3550万人、外国人観光客が2120万人に達した。
F&B企業の65.5%が前年比で売上高を維持または成長させている。一方で、原材料費などのコスト上昇圧力を受け、52%の企業が値上げを実施した。ただし、利益確保と消費者の購買力維持のバランスをとるため、多くの企業は一部のメニューに限って小幅な値上げにとどめている。
フードデリバリー市場はグラブフードが首位
フードデリバリーアプリ市場では、シンガポール系グラブ(Grab)の現地法人グラブベトナム(Grab Vietnam)が展開する「グラブフード(GrabFood)」が売上高シェア52.2%でトップを維持した。続いてショッピーフード(ShopeeFood)が39.7%、ビーフード(BeFood)が2.9%となった。
また、不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンファスト(VinFast)製電気自動車(EV)・電動バイクのレンタカー・タクシー会社で、配車サービス「サインSM(Xanh SM)」を展開するグリーンGSM(Green GSM)の「サインSMゴン(Xanh SM Ngon)」が新たに市場に参入し、利用店舗数で3位に躍り出た。
しかし、F&B企業の約80%にとってアプリ経由の売上高は全体の30%未満となっており、アプリは依然として主要な収入源ではなく補完的な販売チャネルにとどまっている。
チェーン店が台頭、小規模店は苦戦
市場の構造も変化しており、チェーン展開する企業が優位に立っている。2025年の売上高に占める単独店舗の割合は91.7%と依然として高いものの、チェーン店の割合は前年の7.3%から8.3%へと上昇した。
賃料や人件費、原材料費が高騰する中で、フィリピンのファストフードチェーン最大手のジョリビー・フーズ・コーポレーション(Jollibee Foods Corporation)が運営するハイランズ・コーヒー(Highlands Coffee)や、米国のコーヒーチェーン大手スターバックス(Starbucks)、マクドナルド(McDonald’s)、地元ブランドのカティナット(Katinat)、フックロン(Phuc Long)などの大規模なチェーン店は規模の経済を活かしてコストを抑え、シェアを拡大している。
対照的に、F&B事業者の71.84%を占める1店舗のみを運営する小規模事業者は苦戦を強いられている。
2026年についてiPoS社は、F&B業界の売上高が前年比+4.6%増の約760兆VND(約4兆6000億円)、店舗数が同+1.2%増の約33万3600か所へと引き続き成長すると予測している。今後は店舗数を急拡大させるのではなく、運営効率や提供する体験の質を重視する、より成熟した市場へと発展していく見通しだ。


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