ベトナムとEUのFTA交渉は2012年6月26日に開始され、これまでに14回の会合が開催された。3年以上にわたる交渉を経て今年8月に大筋合意に達し、今回の正式署名に至った。
両者は、縫製品や履物、農水産物、木製品などのベトナムの主力製品、また機械や設備、自動車、アルコール飲料、農産物といったEUの主力製品を含めた全品目の99%の関税を撤廃することで合意している。
同FTAが発効すれば、毎年ベトナムのGDP成長率が+0.5%、輸出額が+4~6%押し上げられる見通しだ。ただし、ベトナム企業は同FTA発効による輸出増加のチャンスを活かすべく、効果的な生産投資計画を作成すると共に、競争力の向上やビジネス環境の透明性改善などに取り組む必要がある。
ベトナムにとってEUは、主要輸出先の1つで、2番目に大きな貿易相手国・地域となっている。貿易総額は、2010年の177億5000万USD(約2兆2000億円)から2014年に368億USD(約4兆5000億円)へと拡大。2015年上半期における貿易総額は前年同期比+11%増の194億USD(約2兆4000億円)で、うちベトナムの対EU輸出額が150億USD(約1兆8500億円)だった。
EUがベトナムで展開している海外直接投資(FDI)案件は、2015年上半期末時点で約2100件に上り、認可総額はおよそ384億USD(約4兆7000億円)。EU企業が参入している主な分野は、工業や建設、サービスなどとなっている。