アジア開発銀行(ADB)の小西歩ベトナム所長はベトナムの証券市場は初期の段階にあると指摘、他の国家の証券市場の発展の歴史を見ても、初期の段階では株価の変動は非常に激しく、従って同じことがベトナムで起こったからといって特別なことではないとの見方を示した。
問)現在非常に大きな資本がベトナムの証券市場へ流れこんで来ています。証券市場の大きな変動とそれがベトナムの経済基盤に与える作用について、将来に渡る見通しをADBではお持ちでしょうか?
所長)証券市場はお天気と同じようなところがあります。雨の日もあれば、晴れの日もある。もし市場が調整をしないということであれば、それこそが問題です。ベトナムのような初期の段階にある場合は、今後も活況を呈する時と調整局面とが現れるでしょう。でもそれが通常の市場の決まりごとなのです。
中長期で眺めますと、ベトナムの証券市場というのは、発展するでしょうし、またそうでなくてはなりません。
私達の見たところでは、ベトナムの証券市場というのは、海外投資家からの資金が流れ込んできているから発展しているということばかりでなく、現時点では国内の大きな資金によってはぐくまれていると言えます。
そしてまさにこの点が私達の心配でもあるのですが、現在証券市場に投資を行っているベトナム人投資家の方のうち、どれくらいの人が実際に証券市場に対する理解があり、また企業の成長を分析するために財務諸表を読むことができるのでしょうか?また市場で取引されている企業のうちどのくらいが経営の実情を反映した情報公示を行っているでしょうか?公共性のために追跡や勧告を行うシステムと能力を十分に持っている当局機関がどれくらいあるのでしょうか?このような点をADBでは非常に憂慮しています。
問)証券市場が過熱してくる中で、ADBではマネーロンダリングについて何か対策等の経験はされていますか?
ベトナムの経済基盤としての特徴に、現金での決済をするということがあります。ADBではすでに国家中央銀行とマネーロンダリングについて決議を交わしており、中央銀行自身でも反マネーロンダリング局という部署を設置しています。この部署が能力を高めていけば証券市場でのマネーロンダリングを防ぐ役割の一端を担うことになると思います。
ADBではフィリピンやインドネシアの両国でマネーロンダリングに関して骨格となる法体制の整備や実際の当局の活動展開についてサポートしてきた経験があります。マネーロンダリングに対処する金融システム作りもサポートしていきます。
問)GDPの4分の1とも3分の1とも言われる証券市場も、上場会社数は合計でわずかに200社程度に留まっています。どのようにご覧になっていますか?
所長)まず株式を供給する企業の数が少ないことで、株価が高騰しているわけですから、政府の指導の下、国営企業の株式会社化を迅速に進める必要があるでしょう。それによって、市場に提供される株式の数ばかりでなく、質の向上という効果が現れるでしょう。上場する個人企業を増やすことも大切です。そうすることで、規模と同時に懐の深い市場が形成されていくことになるのではないでしょうか。
ADBとしては、投資家の方が知識を身につけ、見識を広げ、優良企業に長期にわたる投資を行うような傾向が生まれることを期待しています。企業は迅速で適切な透明性のある情報公示を心がけることが大切でしょうし、また政府機関には監督能力の向上を期待しています。


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