先日香港上海銀行(HSBC)は、ベトナム証券市場についての楽観的な評価をした6番目のレポートを発行した。これによると、今後の証券市場の急速な成長をHSBCに強く信じさせている要素は、マクロ経済の発展、国内投資家の楽観的な心理と、海外投資家の今後のIPO(新規株式公開)への期待であるという。
1) HSBCの予想
HSBCの以前のレポートの印象的なところの1つに、市場のファンダメンタルズ要素の分析に基づき結論を導き出すという手法があった。HSBCは上場企業のPER、EPS等の指数を計算し予想することによって、国内投資家を初め多くの投資家から信用を得、多くの投資家がその予想に沿った行動を取った。
以前の2つのレポート(3月のレポートと8月のレポート)では、楽観的な評価を出したにもかかわらず、HSBCは株価がまだ高いという考えを維持し、900ポイントはVNインデックスの今年年末のターゲットであるという結論を出していた。
しかし、最新レポート(10月1日)ではPERやEPSについては新しい評価を示さなかったにもかかわらず、HSBCは株価が合理的なレベルに戻って来たために、VNインデックスは上昇すると確信して評価している。であれば、この評価は予想のみなのだろうか?という疑問が沸いてくる。
まず、ここ1ヶ月で上場企業の業績には余り変化が無かったということ。このレポートを出した時点では、上場企業の第3四半期の業績はまだ発表されないため、評価のデータは第2四半期の業績のみである。しかし、6番目のレポートではHSBCは株価が合理的なレベルに戻って来たため、VNインデックスは大きく上昇するという評価を出した。
次に、マクロ政策でも何も変化は見られなかったということ。国家中央銀行の規定03号が発行された後、国内外の投資家は規定03号が証券市場への資本を抑制してしまうと心配していた。更にこれは、HSBCが証券市場は調整局面に入るというコメントを出すための理由の1つでもあった。しかし、規定03号の期限は今年年末であり、また現在ハノイ・ホーチミン証券取引所の上場企業の株価が大きく上昇し、ホーチミン証取の売買高が1兆ドンを上回っている。つまり、HSBCが前回のレポートを出した時点と今回の時点では規定03号の市場への影響は変わらなかったが、市況は変わっている。
最後に、大手企業のIPO(一時的な心理要素)について。どのレポートでもHSBCは大手企業のIPOを行うことは市場を活性化すると評価していた。またHSBCによると、ベトナム外商銀行(ベトコムバンク-VCB)が海外の戦略的パートナーへ株式をかなり高い価格で発行するという情報は、たとえ噂でも市場を引き上げる原動力となるとしている。
こうして、HSBCの評価の根拠を振り返ると、必ずしも評価の観点が統一されているわけではないようだ。現在、多くの銘柄の株価は、HSBCがVNインデックスは900ポイントへ下落するという評価を出した時点の株価と同じか、或いは大きく上回っている。HSBCの今回のレポートは、ファンダメンタルズ分析よりも市場傾向についての予測に基づいて作られていると言えるだろう。
(2)に続く


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