市場の活況を利用して多くの企業はIPO(新規株式公開)、上場や新株発行を行っていた。国営企業もこのチャンスに株式競売を通して政府保有資本売却を拡大しようと考えている。しかし、この株式競売は多くの困難やリスク-発行機関と投資家にとっての-に見舞われる可能性がある。
1) 市場変動の影響大
概算的な統計によると、多くの投資家は上場企業の株式競売には参加したくないと考えている。なぜ投資家は上場企業及び政府保有資本売却を継続する企業の株式競売に参加したくないだろうか?
通常、これらの株式競売の最低公募価格は市場で取引されている価格に基づいて決定される。企業は大抵、市場価格から20~25%低い水準で最低公募価格を選択する。最低公募価格を余りに低く設定すれば、僅かな取得金額で、国家資本を放出してしまうことになり、逆に高く設定してしまうと全て売却できない可能性もある。
また、政府保有資本売却を継続している企業の難しさは、株式競売の平均落札価格が、上場市場の状況、及びその企業の市価から大きな影響を受けることにあるという。上場市場が好況で株価が上昇していれば、株式競売の平均落札価格も上昇するが、反対の場合には、逆のことが起きる。政府保有資本を売却を続けている企業の株式競売の平均落札価格が市価を上回ることは滅多に起きない。
政府保有資本売却を継続することは、株式競売による増資とは異なる。本質的に企業の資本は変化せず、当然企業の株価も調整されず、既存株主の保有率も変わらない。変わるのは、政府の保有率が減少することと、流通株式数が増加するということのみである。
通常個人投資家は、こうした株式競売に参加することはあまりない。参加する投資家は主に大口投資家と機関投資家である。多くの投資家は、買いたければ市場で買うし、株式競売に参加すると時間がかかり、落札価格を予想できず、落札しても株が口座に入るまでの時間が早くても数週間かかり、その間流動性が低く、又手続きが遅れることもある、などと考えている。政府保有資本売却を継続する企業の株式競売が多くの投資家に歓迎されない主な原因はこの辺りにある。
2) 投資家にとってのリスク
ソンダ都市工業団地投資開発(銘柄コード:SJS)の場合を振り返ってみよう。8月10日に、SJSは政府保有株式数の600万株の株式競売を23万5,000ドン/株の最低公募価格(市価に基づく)で行ったが、登録し入札した投資家の数は 26組のみであった。11月28日に、SJSは551万400株の株式競売を23万5,000ドン/株の最低公募価格で続けて行うことになる。これと同様のケースは、ベトナム国家再保険(銘柄コード:VNR)の場合である。VNRは1,200万株の株式競売を6万ドン/株の最低公募価格で8月24日に行ったが、結局、 74万6,300株を購入するために、投資家10組が登録しただけだった。
企業が政府保有資本の一部を売却しようとする計画を立てることは、この株を保有している投資家へ幾分かの影響を与える。市場が好況であれば株式競売は成功し、平均落札価格も高くなる可能性がある。平均落札価格が市価を上回れば市価は平均落札価格以上に上昇する傾向がある。しかし、その反対も同様にあり得る。
証券市場には回復する兆しも出ているが、変動が余りに激しく状況が複雑であったり、大幅上昇したにもかかわらず、株価を維持できない株も多くある。企業が市場傾向を利用して株式売却を行おうとすることが、実は発行機関(企業)と投資家にとって大きなリスクとなることもある。


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