財政省傘下の統計局(NSO)によると、2025年におけるベトナムのバイク生産台数は前年比+9.9%増の342万台に増加し、過去最高を更新した。特に12月単月の生産台数は34万0600台となり、月別の年内最多を記録した。
生産増加により需給バランスが変化している中、メーカーや販売店が販売促進策を強化する動きがみられる。2025年末ごろから2026年初頭にかけて、各種ギア付きバイクは50万~150万VND(約3000~9000円)、各種スクーターは100万~300万VND(約6000~1万8000円)の値下げで販売されている。
電動バイクも価格競争が本格的に始まり、一部モデルでは最大約1000万VND(約6万円)の値引きや、バッテリー・充電器の無償提供、下取り支援などが行われている。値下げと優遇策が販売台数維持の主要手段となっていることから、市場競争が一段と激化していることが見て取れる。
<直近5年間のバイク生産台数の推移>
ベトナムバイクメーカー協会(VAMM)加盟5社(◇ホンダベトナム=HVN、◇ピアジオ・ベトナム=Piaggio Vietnam、◇ベトナムスズキ=Vietnam Suzuki、◇三陽工業(SYM)ベトナム、◇ヤマハモーターベトナム=YMVN)は、市場シェアの約70%を占め、一部大手メーカーはすでに電動バイクの生産に着手している。
一方、VAMM非加盟の電動バイク企業も急速に台頭しており、製品ラインアップ拡充と生産能力増強を進めている。特に、不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)は、普及価格帯から高価格帯まで幅広いユーザー層をカバーする多様な製品ラインアップを展開して存在感を示している。
また、地場系のペガ(Pega)、ダットバイク(DatBike)、セレックス・モーターズ(SELEX Motors)、トゥアンギア製造組立(Tuan Nghia:ビフォア・オール=Before Allブランドを展開)、デテック(DETECH:エスペロ=Esperoブランドを展開)や、中国系ヤディア(Yadea)、台湾系ディバオ(Dibao)などのブランドも、生産規模の拡大と増産を継続し、電動バイク需要に対応している。
専門家によると、2026年はベトナムバイク市場再編の分岐点となり、都市部でのガソリンバイク規制が導入され、法制度、インフラ、消費行動が変化することで、市場構造の転換が進むとみられている。
劇的に変わる市場環境下で最大の受益者とされるのが電動バイク企業で、各社は生産拡大、バッテリー性能向上、充電スタンド・交換ロッカー整備、アフターサービス強化を加速している。
一方、従来型のガソリンバイクメーカーは再構築を迫られている。電動化への転換、農村市場への集中、製品ラインアップの見直しなどにより、移行期の競争力維持を図る動きが広がっている。
長期的には、この転換はガソリン車か電動車かという二項対立にとどまらず、市場の在り方そのものの変化に繋がる見通しだ。消費者は、車両のライフサイクル全体における使用コスト、充電インフラ、バッテリー政策、持続可能性への関心を強めており、これにより、ベトナムのバイク市場は新たな成長サイクルへと移行しつつある。


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