日本の格付け会社である株式会社格付投資情報センター(R&I、東京都千代田区)は8日、ベトナムの外貨建て発行体格付を「BB+」から「BBB-」に引き上げたと発表した。格付の方向性は「ポジティブ」から「安定的」に変更された。これにより、ベトナムはR&Iの格付で初めて投資適格級に入った。
今回の格上げは、高い経済成長の継続や、生産性・イノベーション主導型の成長モデルへの転換に向けた構造改革、公共投資の拡充、海外直接投資(FDI)などによる経済基盤の強化を反映したものだ。
財政余地を活用した積極的な公共投資に伴い、財政赤字の拡大と公的債務比率の上昇が見込まれるものの、公的債務比率は政府の上限以下に抑えられる見通しで、債務の持続可能性に関する懸念は小さいと判断された。また、経常収支の黒字維持やFDIの流入継続に加え、対外ショックへの一定の耐性も評価された。
ベトナムの実質国内総生産(GDP)成長率は2025年に+8%を記録し、2026年1~9月期も約+9%と堅調に推移している。R&Iは、政府計画の達成は容易ではないとみているものの、経済の基調はしっかりとしており、堅調な成長が続くと判断している。
ベトナム政府は、「ドイモイ2.0」と呼ばれる第2世代の改革を進めている。国家機構の合理化、民間部門の活性化、制度の高度化、資本市場の深化、生産性・イノベーション主導型の成長への移行を柱とする包括的な改革で、成長力とショックへの耐性を強めるものとしてプラスに評価されている。
政府が一連の改革を着実に実行し、市場メカニズムを一段と活用できる環境を整えるとともに、金融システムを強化し、外貨準備を十分な水準に引き上げることで、より安定した形で高成長を持続させることができるかどうかが注目される。
なお、R&Iの格付付与方針によると、発行体格付における「BBB」区分は「信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある」状態と定義されている。プラスやマイナスの符号は各格付区分内での相対的な位置づけを表し、方向性の「安定的」は中期的に格付変更の可能性が低いことを意味している。


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