地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)が展開するビンメック国際総合病院(Vinmec International Hospital)は1日、胎児診療科を新設した。
同院の胎児診療科で、出生前の胎児診断、手術、治療を包括的に実施することにより、新生児死亡率の低下や出生前の母子の健康状態の改善につながると期待されている。民間医療機関として、保健省から認可を取得した国内初の胎児診療科となり、ベトナム医療における出生前診断・治療の新たな一歩となる。
新設した胎児診療科では、産科、画像診断、遺伝学、麻酔・蘇生、新生児医療といった同院の強みを生かし、遺伝子検査、精密超音波、羊水内視鏡手術、子宮内輸血、双胎間輸血症候群(TTTS)の治療のほか、横隔膜ヘルニア、肺低形成、心奇形、サラセミア、胎児貧血、妊娠高血圧症候群、早産など多岐にわたる症状に対応する。
世界保健機関(WHO)によると、世界では毎年約800万人の新生児が何らかの先天異常を持って誕生しており、そのうち24万人が生後28日以内に死亡している。ベトナムでも年間約4万人に上ると推定されるが、胎児医学は高度な専門性と医療設備、部門間の連携を要することから、普及が進んでいなかった。
今回の胎児診療科の開設により、ビンメック国際総合病院はベトナムの民間医療機関として初めて、国際水準に基づく出生前診断・治療を本格展開できる体制を構築した。今後は世界各国の胎児医学センターとの連携を深め、国際共同研究やカンファレンスへの参加、国内医師向けの研修・技術移転を推進していく方針だ。