先週の頭から、商業銀行の米ドル・ベトナムドン為替レートは、突然ドル高・ドン安に転じた。
5月6日の取引では、商業銀行のドル売りレートは1万6,145ドンとドン安になった。このレートは、4月30日と5月1日の祝日以前の取引終了時(4月29日)よりも20ドンのドン安である。4月初旬からみると急激な変動であり、年初からでは3月20日から31日までに次ぐ2番目に大きな変動幅となった。
現在の商業銀行のドル売りレートの水準は、決められた変動幅(1%)の中で推移している。つまり、国家中央銀行が3月10日に緩和した銀行間平均レートと比較して、プラスマイナス1%の変動幅で取引されて来た。
一方、自由市場では、ドル売りレートは1万6,200ドンまでドン安が進行した。
現在のドン・ドル為替レートは、2008年初頭からみて最もドル高・ドン安の水準にあり、先月来維持されていた1万6,120ドンのラインを突破した。
ここ数年、市場における外貨需要は中銀の管理下にあって、輸入企業の需要によって変動する傾向があり、第2四半期からドン安に転じ始める。
今年も4月下旬の定例報告の中で、中銀は、商業銀行支援のために外貨売りを継続し、経済全般における外貨需要を満たすと発表した。中銀は市場における外貨の需給のバランスは安定傾向に戻ることを強調した(3月20日から31日までの大きな変動以降)。
しかし、外貨需要から見ると、外貨需給バランスの安定は大きく崩れ、新たな局面がつくり出されており、為替レートはドル高に大きく転じた。これには企業の輸入需要の他に、別の直接的な要因があった。
まず、今月初めに、中銀が、一部の商業銀行、金の取扱い企業が2008年の純金の輸入量を修正することに同意したことが挙げられる。5つの銀行と企業は、2008年初めからの国際金価格の低迷を利用し、すぐに3,500キロの金地金を輸入するよう計画を修正した。それにより、相当量の外貨がこの需要に集中することになった(仮に上述の量の金を輸入した場合、1億米ドル程度になる)。さらにこれは、外貨需給のバランスに関する問題の中で、持ち込みによる金地金は考慮されていない。
更に公式発表されていない情報ではあるが、もう一つの要因として、国庫金を回収し、預け入れている国営銀行から中銀へ戻す計画がある。この計画は、政府主導で財務省が4月28日に公布した決定第745号の中でも重要な条項となっている。
中銀によって回収される国庫金総額はまだ具体的には公表されていないが、外貨も相当額に上ると予想されている。ベトコムバンク(VCB)からの回収だけでも10億米ドルとも推測されている。
VCBグエン・ホア・ビン取締役会長は、中銀を通じたこの回収によって、それほど大きな影響を受けないが、外貨需要に対して一定の作用があると予想されると指摘した。輸出入決済では現在のベトナムにおいてVCBは最大の金融機関である。
為替レートの変動は必ず、中銀から毎日公表される平均レートと比較して、プラスマイナス1%の変動幅のなかで取引されている。これまでの為替変動の背景には、輸出を支援するためにベトナムドン安とするという当局の思惑も感じられる。
ただし、現在の為替レートの変動水準は、中銀が想定する年間目標内で安定して推移している。統計総局の資料によれば、為替レートの変動水準は、2007年末と比較しても、プラスマイナス1%を越えていない。これは、ここ数年維持されている水準に等しいものとなっている。