買収・合併・提携研究所(IMAA)によると、世界のM&A活動ランキングでベトナムは現在、取引件数約400件で世界20位に浮上している。2015年における取引件数は339件で、24位だった。
また、国際通貨基金(IMF)は、ベトナムの国内総生産(GDP)が世界55位に留まる一方でM&Aが世界20位の規模に拡大していることは、ベトナム経済が新たな発展段階に突入したことを示す証拠だとしている。
ベトナムで実施される大型M&A案件は小売や消費財、不動産業界が中心で、最大の対越投資国はタイや日本、シンガポールとなっている。日本が石油・ガソリンや航空関連事業へ戦略的に投資しているのに対し、シンガポールは不動産事業、タイは小売事業に注力している。
2015年から2016年上半期にかけてベトナムで行われた主な大型M&A案件や株式取得は以下の通り。
◇タイの小売最大手セントラル・グループ(Central Group):フランス系カジノ・グループ(Casino Group)よりスーパーマーケット「ビッグC」を11億4000万USD(約1200億円)で買収。
◇タイのビール醸造大手ブンロード・ブルワリー(Boon Rawd Brewery)傘下のシンハー(Singha):マサンインベストメントグループ[MSN](Masan Group)子会社のマサン消費財ホールディングス(Masan Consumer Holdings=MCH)株25%及びマサン・ブルワリー(Masan Brewery)株33.3%を11億USD(約1160億円)で取得。
◇タイの大手財閥TCCグループ(TCC Group):ドイツ系卸売り流通大手のメトロ・キャッシュ&キャリー(メトロC&C:Metro C&C)を7億1100万USD(約750億円)で買収。
◇JXエネルギー株式会社:ベトナム最大手石油ディーラーのペトロリメックス総公社(Vietnam National Petroleum Group=ペトロリメックス)株8.0%を取得。
◇ANAグループ:ベトナム航空(Vietnam Airlines=VNA)株約8.8%を総額2兆4310億VND(約115億円)で取得。