先日政府監督官はベトナムミルク会社(銘柄コード:VNM)へ400億ドン(約2億8,700万円)余りの賠償金を請求するということを提言した。しかし、同社は首相に対して提言が不公平であるとする文書を提出した。
8月30日に公開された政府監督官の調査結果によると、2005年にVNMは政府の資本の10.46%を売出した時に、8,129億ドン(約58億4,800万円)を調達した。しかし、調達した資金を国営企業株式会社化のための補助基金へ納入することが遅れた。そのため、政府監督官は納金が遅れた金額の金利分に相当する 288億ドン(約2億円)の賠償を提言した。同時に提言ではVNMは新株発行時の元金と利金を合計した120億ドンも納めなければならないとしている。
VNMの株式会社化の案は工業省(現在は工商省)に2003年に認可された。当時、同社の資本金は1兆5,000億ドン(約107億9,000万円)であり、そのうちの80%を政府が保有していた。同社は資本の12.54%を幹部社員へ売却し(うち11.12%は額面価格で売却)、乳牛飼育農民へ優待価格で資本の2.66%を売却、そして株式競売によって外部へ資本の4.8%を売却した。
一方、政府監督官の調査結果によると、VNMの自社株式売買での不正も認められたという。具体的には、幹部社員へ発行することになっていた資本金の11.2%のうち、9万5,000株を他の対象へ売却していたという。この9万5,000株のうち、2万株 (20億ドンに相当)は元幹部へ売却され、7万3,000株(約70億ドンに相当)が工業省、財務省とホーチミン市税務局の幹部へ売却されたいたのだ。
農民へ売却する株式については、政府監督官は農民たちが全ての株式を買い切れなかったにもかかわらず、VNMは発行案を調整するため工業省へ報告せず自社の福利積立金で残りの株を勝手に買ったと発表した。このやり方は財務省の規定に違反していたという。
VNMは288億ドンしか納めないと主張する
VNMの社長であるマイ・キウ・リエン女史は政府監督官に提言されている400億ドンを超える金額のうち、288億ドンしか納めないと9月5日に発表した。リエン社長は、2005年に政府の資本の10.46%を規定に従って外部へ売り出した時に、VNMはこの金額をたった1ヶ月だけ保有していただけであると説明した。しかし、当時VNMは、イラクと総額数千万ドルの輸出契約を締結したばかりだったので、この契約を完了するために大きな資金が必要だった。VNMは株式売却で調達した資金を4ヶ月間保有することを財務省へ提言した。そのため、VNMは納金が遅れた金額の金利分に相当する288億ドンの賠償は認めている。
一方で、政府監督官の提言に従い納めなければならない120億ドンについては、リエン社長は、これは新株を追加発行することから生み出された差額であり、VNMが所有すべきものであると語った。同社長によると、2005年にIPOを行った際、資本金が1兆5,000億ドン未満であったため、きりよく1兆5,000億ドンとするため、VNMは新株を額面価格の1.5倍の価格で追加発行したという。取得した差額は約90億ドン(約6,500万円)であり、VNMの資本余剰金に追加された。
リエン社長は、政府監督官がVNMにこの90億ドンと納金遅れによる金利(20億ドン以上)を納めさせることは不公平であり、投資家を疑問を抱かせてしまうと考えている。「VNMは再提言する文書を首相へ提出しました。」と同社長は語った。
違う対象へ発行したと政府監督官に追求された9万5,000株については、VNMに貢献した人たちを待遇する意味で、元幹部、またVNMが資本の70%を出資したサイゴンミルク社、ルックビンミルク社の幹部社員へ売却されたとリエン社長は語った。
一方、農民が買いきれなかった分の株式数(4,000株以上)を自社の福利積立金で買うことは合理的なことだと考えている。規定によれば、幹部社員が株を買わない限り、発行機関は発行案を調整し株式競売を再度開催しなければならないとされている。「この株式はまだ福利積立金の一部であり、これまで誰にも分配されていません。」とリエン社長は肯定した。
現在、VNMは時価総額が最大である上場企業(29兆ドン)である。そのうち、国家資本投資経営総公社(SCIC)は資本の46.7%(15兆ドン弱に相当)を保有している。